現在の世界の人口は約73億6296万人。
実は現在12年ごとに約10億人が増加をしています。
地球温暖化の原因は人間のエネルギー活動によりもたらされた、温室効果ガスが原因。
かつては電気のなかった発展途上国の奥地でも電力は発電されるようになりました。
大規模な発電ではなくても、ガソリンを使った発電機の普及により、電力を得ることができたのです。
医療の発達により、長寿化がすすみ、世界一長寿の国、日本では84歳、ランキング下位の中央アフリカでも54歳となっています。
単純に、人口増化で、エネルギーの消費も多くなり、地球温暖化の原因の温室効果ガスの排出は進む。
そう考えられます。
しかし、地球温暖化問題、気候変動に関する研究を政府間の枠を超え行っているIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書。
これにおいて、人口増加と地球温暖化問題が大々的に取りざたされることはほとんどありません。
それはなぜなのか。
また、人口増加による温室効果ガスの排出量の増加は本当におきているのかを見ていきましょう。
目次
人口増加は地球温暖化の原因なの?
人口増加による消費エネルギーの増加は、地球温暖化の原因のひとつと考えられています。
科学者たちはIPCC発足以前より、世界が絶滅の時代に入っていることを予測していました。
地球温暖化問題と人口増加は、人間の社会にも自然界にも深刻な影響を与えると警鐘を鳴らし続けてきたのです。
地球には私たち人間のほかに、様々な生物多様性があります。
その生物多様性が失われてきていることは、なんとなくですが感じるのではないでしょうか。
たとえば、動物でいえばホッキョクグマです。
地球温暖化問題で、絶滅する生物の代表としてよく取りざたされています。
レッドブックデータ(絶滅危惧種の動植物をまとめたもの)には毎年、絶滅の危機にある動植物が追加されています。
生物多様性の崩壊の原因は多様で複雑です。
例えば人間の手による生息地の破壊、森林伐採、乱獲。
それだけではなく地球温暖化が原因の気候変動や、二酸化炭素の増加による海の酸性化などがあります。
そこには共通する一つの単純な事実が、人口増加です。
IPCCだけでなく、地球温暖化の原因が人口増加にあると触れない理由
人口増加が生物多様性の崩壊と地球温暖化の要因の一つであるなら、なぜ人口過剰は大々的にとりざたされないのでしょうか。
予測では、21世紀末までに、人口はさらに40億人増加、世界人口は110億人に達すると考えられています。
それにもかかわらず、科学者も、国政を行う人々も、環境保護論者でも、人口の劇的な増加にはあまり触れたがりません。
地球温暖化の原因による気候変動や、実際に失われている生物多様性、そしてエネルギー資源がやがてはなくなること。
こうした地球レベルでおきているの環境の危機の全般に、人口増加が関連していると公言したがりません。
世界の人口増加が地球温暖化問題のみならず様々な悪影響を及ぼすことを、議論しない人々。
その理由をアメリカのオハイオ州立大学のジェフリー・マッキー氏はこう語ります。
「誰も人口増加の問題について話したがらないのはもっともなことなのです。
そこには基本的人権の問題や、国ごとにことなる文化や価値観、その根底にある宗教観の違い、それに経済発展も考慮してのことです。
これは際どい話題なのです」と。
マッキー氏は人口増加の問題に関して生物多様性の減少に関する研究を行い、人口増加率と絶滅危惧種の数が密接に関わっていることを発見しました。
しかし、ことを公言するのに、彼はこう見解を示しています。
「たとえ『生殖に関する責任』という、私が好んで使っている用語を選んだとしても、人々の逆鱗に触れてしまうのです」。
私たち人類は、本能的に繁栄を望みます。
それは経済的な発展や、国力を上げることになります。
国力を上げるのに、人口が減少し、経済を支える若者がいなくなれば、やがては廃れていく。
それを危惧して、多くの経済学者が、人口増加の鈍化は「経済的な死の前兆」と捉えているのです。
若い労働者の経済参入が減少する(人口が減少する)と、政府の資金調達が困難になります。
資金の調達が難しくなると、社会政策の実施が難しくなると主張しているのです。
中国では人口抑制のための一人っ子政策が2016年に廃止されました。
その背景には特定の期間の経済を支える若者が激減するためにおこる、国力の低下に気づいたためです。
地球温暖化問題のひとつの要因となっている人口増加について、触れている学者は他にもいます。
ハワイ大学の地理学者カミーロ・モラ氏が、Ecology and Societyという学術誌に掲載した論文です。
「過剰な人口増加は地球温暖化問題と生物多様性の危機を悪化させる。
それは、世界規模の社会経済的問題を引き起こしている」との主張でした。
この二人に共通するのは地球のもつ、環境収容力ともいうべき、生物学的概念。
これが示す値をすでに上回ってしまっているというものです。
たしかに、世界をみわたせば、数百万人が飢えに苦しみ、多くの人々が、清潔な飲み水さえ手に入れられずにいます。
単純に、地球温暖化問題だけがこうした飢えや水不足をもたらした、とは言い切れません。
人間を含む生物多様性の問題には、地球温暖化問題や、人口増加だけではなく、様々な要因が加わっているのです。
希望的観念をもとう
地球のもつ、環境収容力ともいうべき、生物学的概念。
これが、もう、いっぱいいっぱいだとしても、私たちは子孫を残さないわけにはいきません。
それに人口増加による地球温暖化問題があるという話題を避けたところで、その重要性に変わりはありません。
議論が活発にされていなくても、人口増加と地球温暖化の問題はたしかにあります。
多くの科学者は、地球温暖化問題が、現在地球上で最も重要な環境危機であることに合意しています。
地球温暖化問題の解決策として、あげられているものがいくつかあります。
まずは早急な再生可能エネルギーの革新です。
今まで、一度使えばもう終わりというエネルギー資源にたよっていた世界全体の人類共通の概念を覆すこと。
再生可能エネルギーの普及は長い間、焦点をあてられてきたことです。
次にあげられるのは、農業の革新と、今ある森林の保全です。
世界一の森林であるアマゾンでは、森林破壊が始まる前の気象変動が皆無でした。
しかしアマゾンの熱帯林ではここ数年、乾季に雨が降り、雨季に雨が降らない異常気象が続いています。
地球温暖化が原因の、世界的な気候変動の影響を受けています。
こうした熱帯林の破壊は、世界の気候にも影響をもたらします。
森林による保水効果の減少による水不足。
太陽からもたらされた光の反射光(アルベド)の増加。
これがさらなる地球温暖化を招いているのです。
人口増加により、生きるために農地の開拓のため、伐採され、焼却の際に空気中に放出される二酸化炭素は温室効果ガスです。
こうした現象はすべて、地球全体の大気の流れや、熱帯地域から遠く離れた地域での降雨量の変化も生み出しています。
こうした事実に気づき、人類はなんとか持続可能な地球環境を守ろうと努力をしています。
まとめ
二人目に紹介した地理学者カミーロ・モラ氏はこう語ります。
「人口増加を無視したままで、必要な炭素排出削減を行うとのは非常に困難である」と。
専門的に研究をした学者が言うのだから、あながち間違ってはいないのでしょう。
しかし、人口増加については、どの国も抑制にむけて動いてはいません。
地球温暖化問題と人口増加の問題が密接なものであったとしても、子孫を残すことは生物の本能です。
ここで、彼はひとつの見解をしています。
「望まれない妊娠をしないこと、性教育の普及、避妊をしない主な理由は宗教上のものだといいます。
多くの人々が、依然、信仰を理由に大家族を持つ、あるいは避妊をしないといった意思決定をしています。
けれども、時代とともに、ゆっくりですが宗教も変わってきているので、過度な子孫繁栄も変えることは可能なはずです」。
さらに付け加えて、こうも言っています。
「人口問題の重要性を認知させる知的革命を起こすことができれば、宗教も否応なく変わるのでは?」。