結論から言うと、わかりません。
がっかりさせてしまうようで申し訳ありません。
なぜなら、地震は有史以来起こっている自然現象で、いまだ解明されていない部分があまりにも多いということ。
それが、地球温暖化に伴う気候変動に結びついているということは、まだ科学的根拠がないからです。
そもそも地震の発生についてのメカニズムは要因がたくさんありすぎます。
それに、地球温暖化の問題についても、近年に起きたことで気候学的な見地での検証が多くされていても、地質学との関連付けは今のところあまりないようです。
地球は長い長い宇宙規模の歴史的視点で見た時に、寒冷期や、温暖期を繰り返してきています。
こうした時期に地質学的見地から、大規模な変動があったので、地球温暖化が、もしかしたら地震に関連付けられるかもしれません。
今回は地球温暖化と地震が何かしら関連するかもしれないという検証の形でみていきましょう。
目次
南海トラフ地震のメカニズム
日本に住む私たちが地震で、一番今心配に思うことは南海トラフ地震です。
南海トラフ地震という限定的な地震に関しては海底のプレートの動きが原因です。
太平洋岸の海底には、大きくわけて、地震の発生の源となる、南海トラフ、海溝、フィリピン海プレートの地殻、海山のでっぱりがあります。
海側のプレートが、陸側のプレートの下へと沈みこんでいる場所では、2つのプレートの接触面これを、プレート境界線と呼びますが、この摩擦により地震が発生します。
日本の西半分では、海側の「フィリピン海プレート」が、陸側の「ユーラシアプレート」の下へと沈み込んでいます。
この沈み込み口を、海底の溝、海溝といいますが、この部分が「南海トラフ」といわれる部分です。
南海トラフ付近では、マグニチュード8を超える巨大なプレート境界地震が繰り返し発生してきました。
海側の「フィリピン海プレート」の沈みこみに引きずられ、陸側の「ユーラシアプレート」のひずみが蓄積していきます。
2つのプレートの接触面が限界になった時に、ユーラシアプレートが一気にはねあがるというのが南海トラフ地震の発生のメカニズムです。
このプレートには接着面の弱い部分と強い部分があることが現在わかっています。
この接着面が弱い部分では、プレートが滑りやすく、そのプレートの滑りが地震なのです。
海山も地震に関係する
海山というのは、活動を終えた海底火山です。
南海トラフのプレート境界のうち、沈み込んだ海山があって、なおかつ、スロースリップとよばれる、ゆっくりとしたすべりのある場所。
このスロースリップが頻繁に発生している領域では、プレート同士の接着が弱いように見えるといわれています。
では海山が、地震とどう関係するのでしょうか。
海山が存在する場所では接着が弱いという見方が強いのですが、逆に強いという説もあります。
接着が強いという説は、海山が突起としてひっかかり、すべりにくくなるというものです。
一方で、接着が弱いという説では、海山によって、陸のプレートが削られてぼろぼろになるので、強度が弱くなり、接着も弱くなるという考えです。
海山のようなプレート境界面のおうとつのほかにも、プレート境界の岩石内部の水圧(これを間隙(かんげき)水圧といいます)の違いや、岩石や鉱物の違いもプレート境界の接着の強度に影響する可能性が高いといわれています。
間隙水圧と地下の水圧が地震に関係する?
意外なことに、地震の発生には「水」が重要な役割を果たしています。
プレート境界など、断層に水がどのくらい含まれているかによって、地震の発生のしやすさ、断層の滑りやすさが変化すると考えられているのです。
岩石は、鉱物の粒子が集まったものです。
岩石の内部には無数の粒子同士の隙間が存在しています。
水が豊かな環境であれば、この隙間に水が入り込みます。
この水の圧力が間隙水圧です。
岩石の間隙水圧が高ければ高いほど、鉱物粒子同士のすき間を押し広げようとする働きが強くなります。
すると岩石内の鉱物粒子同士の結合がゆるくなります。
そのため、プレート境界など断層の岩石の間隙水圧が高い場合には、断層の摩擦が小さくなり、地震が発生しやすくなるのです。
水はどこからくるのか
プレート境界に水がどのようにしてもちこまれるのか、わかっていないことが多いです。
しかし「含水鉱物」が重要な役割を果たしていると考えられています。
含水鉱物というのは、結晶構造の中に、水分子(H2O)や水酸化物イオン(OH-)を含む鉱物のことです。
一般的に、地下の深い場所ほど、温度や圧力が高くなります。
含水鉱物が、プレートの沈み込みにともなって、地下に運ばれた場合を想定しましょう。
地下の、高温、高圧の影響を受けて「脱水反応」がおき、水を放出します。
この脱水反応によって生じた水の一部は、プレート境界、断層にそって移動していくと考えられています。
このような過程で生じた水によって、断層部分の間隙水圧が一時的に上昇し、地震の発生がうながされる場合もあるのかもしれないといわれています。
水のはたらきと、地球温暖化の異常気象と関連してくる
地球温暖化と地震ということで、これまで地震発生のメカニズムやその発生の過程、可能性のあるものとして間隙水圧を紹介しました。
地球温暖化や自然の揺らぎがからみあって、異常気象はおきるのですが、今度は気象現象の要素を紹介します。
気象現象の多くは「気温」「気圧」「湿度」という三つの要素で説明することができるといいます。
この3つの要素のうち、もっとも大きな役割をするのが、「気温」になります。
まあるい地球の上下、極域は太陽からのエネルギーが届きにくく寒い。
地球の真ん中、赤道付近は太陽からのエネルギーをうけやすく暖かい。
この温度の差をもとにして、風や海流がうまれ、結果的に結果的に様々な気象現象が現れるのです。
なので、地球温暖化が問題となった時に、今後100年以内に気温の上昇を2℃以内に抑えようと、いわれたのです。
しかし、この気温は、太陽エネルギーが地球に届いてはじめてでてくること。
地球そのものが持つ気候要素に、海水があります。
海水面上でおこる気候条件は、大きく3つに分類できます。
まずは海流で、海面で吹く風に引きずられたり、海水温や塩分濃度の差によって作られたりする海水の流れです。
異常気象を起こす、エルニーニョ現象に深く関与しています。
次に海水面を渡る風が二つあります。
貿易風といわれる、亜熱帯域から、赤道域へと、つねに北東から、南西へと吹く風です。
こちらも異常気象を起こす、エルニーニョ現象に深く関与しています。
もうひとつの風は偏西風で、西から東に向かって地球を一周する大気の流れです。
異常気象をひきおこす、ブロッキング現象に深く関与しています。
こうした気候変動をもたらす様々な要因。
気候システムの中にある自然のゆらぎと、気候システムの外、太陽からの影響に分けられます。
地球温暖化により、こうした気候システムが複雑に絡まりあうことで、異常気象がまれにおこるのです。
地球温暖化により、1940年から世界は高い時で0.6℃気温が上昇しています。
この気温上昇に伴い、海水の温度も上昇します。
地球温暖化による海水温の上昇と地震の関係性の仮定
すると、地震のメカニズムの中でふれた含水鉱物にも影響が出るのではないでしょうか。
海水温の上昇が海底面にまで影響を及ぼした場合を想定します。
含水鉱物は地下の、高温、高圧の影響を受けて「脱水反応」がおき、水を放出する。
この脱水反応によって生じた水の一部が、プレート境界そって移動していくと考えられている。
このような過程で生じた水によって、断層部分の間隙水圧が一時的に上昇し、地震の発生がうながされる場合もあるのかもしれない。
この仮説で、でてきた地下の高温、高圧は、海とも関係してきます。
火山や、地殻の運動との関係性も無視できませんが、海上保安庁の観測している海水温の高い部分が、地震の震源地に近いというデータの照合もされています。
しかし、これはあくまでも仮定です。
まとめ
地球温暖化と地震が何かしら関連するかもしれないという検証をしてみました。
私は残念ながら、地震のことは詳しくはわかりません。
わかるのは地震も地球温暖化も、自然界のなかでおきるものだということです。
万物はその多様性と関連性が、複雑に絡み合い、ひとつの事象として起きます。
その関連性について、何と何が縁となり、その結果、どうなり、その報いがこれで、こうした事象がおき、その性質は何であり、本質がこれであったがためにこうしたことになる。
ここまでの研究が、地球温暖化と地震の関連性ではいまだ、されていないので、あくまでも仮定として読んでいただければと思います。