生態系とは、ある地域に群生するすべての生物群集と、それを含める環境のすべてをさします。
例えば、植物は無機物から有機物を生産します
その植物を食べる動物が活動し、動物の排泄物および死骸は菌類が分解して無機物にもどります。
通常はこのバランスが保たれていますが、気候変動や人為的影響により今生態系は崩れはじめています。
目次
地球温暖化により生態系にはどのような変化がおきているのか
先にわかりやすく、動植物を例にして説明しましたが、実際にはもっと幅広いものです。
標高差や気候の要因、陸地、海域によっても、特定の地域にどのような生態系が構築されるかが決まってきます。
生物が生息しにくい環境になればそれに伴い、生態系にも変化が見られます。
この生態系の変化は、地球温暖化により、近年世界中で変化が生じました。
地球温暖化により、20世紀の間に地球の平均気温は0.7℃上昇しています。
この気温の上昇が、顕著に現れた地域があります。
植物のわずかな変化は、よほど注意深く観察をしていないと、気づきにくいものです。
ですが、科学者たちは地球温暖化を含め、環境破壊により生態系の変化をしっかり観察し警鐘をならしています。
自然の1000倍の速さで絶滅が進行
2005年に発表された国連の「ミレニアム生態系アセスメント」では、世界各地の海や森林、湿地、河川などの生態系の変化を4年がかりで調査した結果を発表しました。
この報告は1950年を基準年として40年間の生態系の変化の調査報告がされています。
この取り組みは生態系に関する科学的なアセスメントを実施し、世界の草地、森林、河川、農地、海洋などの生態系が、社会、経済にもたらす恵みの現状と、将来の可能性を総合的に評価しようとするもので、日本では国立環境研究所が参加しました。
まず、海の生態系の変化では、さんご礁の4分の1が消滅しています。
世界中の海で、さんご礁はきわめて多様化して繁栄する生態系の中で、大きい役割を果たしています。
さんご礁の死の確認は白化によりわかります。
さんご礁の白化は様々な環境の変化によるショックで起こります。
地球温暖化により、海水温が上がったこと、温室効果ガスの二酸化炭素が、海へ吸収されその酸性度が増しアルカリ性を好むさんご礁にダメージを与えたこと。
これがさんご礁へ与えた生態系の変化です。
さんご礁の周りには多種多様な生態系があるため、さんご礁の消滅によりその周りの生態系も消失しました。
森林ではどのようなことがおきているのでしょうか。
森林、草地の消失が14%確認されています。
地球温暖化の影響で、森林が失われたケースにオーストラリア史上最悪の森林火災があります。
2009年2月から1ヶ月以上にわたり、オーストラリア南部で森林火災が発生しました。
この山火事によって、森林の4500平方メートル以上が消失しました。
2005年に発表されたミレニアム生態系アセスメントには含まれていないので、森林の失われたパーセンテージはさらに上昇したことになります。
これほどまでの森林火災の原因が、地球温暖化によるものだと考えられています。
地球温暖化にともなう気候変動により、極度の少雨と高温の影響が続いていたことで、森林が非常に乾燥した状態だったことが考えられています。
森林にもそこに生息する動植物を育む生態系があるため、森林火災により今までの生態系が失われたことになります。
湿地や河川では
淡水域の生態系破壊も激しく、湿地帯はこの100年間で50%減りました。
世界中の主要な河川の半分以上が地球温暖化により水不足に見舞われたことと、深刻な汚染により環境が劣化したためです。
こうした環境劣化により、過去100年間に約100万種類の鳥や哺乳類、両生類が絶滅しています。
一概に地球温暖化だけが原因とはいえませんが、自然に起こる絶滅よりもはるかに早いスピードで生物種の絶滅が進行していることがわかりました。
将来の可能性
この結果を元に50年後の地球環境をコンピューターでシュミレーションした結果は以下の2つになります。
1、今の傾向が続けば2050年までに、残された草地や森林の20%が破壊される。この結果人間の生活自体が立ち行かなくなる。
2、現在のような自然資源の利用をいつまでも続けることはできない。
まとめ
地球温暖化の影響で、現在北極圏の生態系では、主食となるアザラシや小魚が減少し、ホッキョクグマやペンギンたちの生命が脅かされています。
陸地でも、標高の高い寒冷地に生息するオコジョや、ライチョウなどが生息場所を失いつつあります。
海面の上昇や湿地の減少、地球温暖化による気候変動に対応できなくなった渡り鳥や海鳥など、2070年には7割以上の鳥類が絶滅する地域が出るとWWF(世界自然保護基金)で発表されています。