地球温暖化の異常気象は、大きく分けて、雨が不足するか、雨が多すぎるかです。
雨が不足するのが、大干ばつと、熱波です。
雨が多すぎるのが、スーパー台風になります。
まずは雨の不足したケースから見ていきましょう。
大干ばつ
大干ばつとは、長期間にわたり高気圧がとどまった状態が続き、湿った空気が迂回してしまい雨が降らない状態のことです。
2001年から2009年にわたる長期間の間、大干ばつに襲われた国オーストラリア。
オーストラリアの南部では長期にわたる少雨が8年も続きました。
メルボルンでは2009年1月の降雨量が1mmでした。
メルボルンの1月のそれまでの年平均降雨量は46.1mmです。
2007年と2009年には、大規模な森林火災も発生しました。
こうした大干ばつは、地球温暖化が原因とされています。
熱波
熱波とは極端に高い温度の空気の塊が連日、波のように押し寄せてくる現象を指します。
2016年5月にインドをおそった熱波では国内新記録の最高気温が観測されました。
インドの西部に位置するファロディという町で、51℃を観測。
これまでの最高気温は、1956年に観測された50.6℃でした。
熱波は地球温暖化とエルニーニョ現象がひきおこすといわれています。
近年では世界各地の広範囲で酷暑となり、観測史上最高記録を塗り替える国が多発しています。
2015年だけでも、スペイン、スイス、ドイツ、ヨーロッパ各地、南アジアで史上最高気温が記録されています。
スーパー台風
地球温暖化が台風の勢力を強めています。
風速が1分平均で秒速67メートルを超えるような台風をスーパー台風といいます。
台風は温かい熱帯の海で水が蒸発して、上昇気流の発生により作られます。
今後、地球温暖化が進めば、海水面の水の蒸発量は増えるため、台風の勢力もよりいっそう強められると考えられます。
台風エネルギー源は熱帯の温かい海水面から供給される水蒸気です。
この大量の水蒸気が上空に持ち上げられて、巨大な積乱雲となることで、台風が作られます。
地球温暖化により、気温が上昇すると、大気中に存在できる飽和水蒸気量も増えます。
その結果、台風が発達しやすくなると考えられているのです。
また、水深100メートルの深い場所の海水温も関わっています。
台風は発達するにしたがって、強い風により、その下の海水をかき混ぜます。
すると、浅い場所と深い場所の海水が混ざり合います。
深い場所の水温が低い場合、浅い場所の海水温も下がるので、台風は発達できなくなります。
しかし、深いところまで海水温が高い場合、海面の温度が下がらないため、台風の発達が続き、強い台風ができやすいといわれています。
日本もよく台風が来ますが、今後、スーパー台風に襲われるようになるのでしょうか。
コンピューターによるシュミレーションによって、地球温暖化に伴い、スーパー台風の強さがどう変化するかが調べられています。
その結果、温暖化が進んだ、21世紀末の気候で発生した最大強度の台風。
その平均風速は秒速88メートルにも達したといいます。
しかも、温暖化気候におけるスーパー台風のいくつかは、その強度を維持したまま日本付近に達したそうです。
異常気象を引き起こす気候メカニズムは2つ
その1:偏西風の蛇行とブロッキング現象
偏西風は通常、その流れが常に同じではなく、流れの方向や風速変わったりという変化を繰り返しています。
この変化により、赤道域から流れてくる温かい空気と、極域から流れてくる冷たい空気が混ぜ合わされ、中緯度域は適度な温度になるのです。
しかし、偏西風が蛇行したり、ブロッキング現象と呼ばれる偏西風の固定がおきると、異常気象の引き金となります。
低気圧や高気圧が、特定の地域に長期間とどまることになるため、干ばつや、熱波に襲われることが多くなります。
その2:エルニーニョ現象
エルニーニョ現象とは、およそ4、5年に1度、東太平洋の赤道付近の海水温が、広い範囲にわたり上昇する現象です。
通常、太平洋の赤道付近では、東から西へ、常に貿易風が吹いており、海の表層にある温かい海水は西側にたまっています。
しかし4、5年に1度、西向きの風が弱まり、いつもは西に追いやられている温かい海水が、東側に流れ込むことがあるのだといいます。
すると東側の海水温が1℃~5℃も上昇することがあり、これをエルニーニョ現象といいます。
天候を左右する低気圧や高気圧は世界各地でたがいに影響をおよぼしあっています。
そのためエルニーニョ現象による太平洋上の低気圧の位置の変化は、連鎖的に世界中の大気の状態を変えてしまいます。
エルニーニョ現象がおきると、日本やアメリカでは多雨になりやすく、オーストラリアなどでは逆に干ばつがおきやすくなるといいます。
まとめ
100年規模の長期的な気候変動である地球温暖化と数年規模でおきているエルニーニョ現象の関係性はまだ統一的な見解はありません。
地球温暖化により、異常気象はより被害が甚大なものになっています。
干ばつ、スーパー台風、熱波。
雨に関して大別できるとはじめに述べましたが、その雨をもたらすものには、海や気温、水蒸気量など、様々な自然要素が絡み合っています。