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二酸化炭素を吸収しているのは植物だけはない
地球温暖化にとっての大敵、二酸化炭素。
学生の頃に習った授業で、植物が二酸化炭素を吸収するということは皆さんわかりますよね。
植物なので陸地をイメージします。
しかし、海にも植物はあります。
海草です。
海草の作り出す酸素により水の中の生物は生きています。
そして、二酸化炭素の海への影響は、もっと大きなものなのです。
実は二酸化炭素は水にも溶け込みます。
地球の約70%を占める海。
その海へ溶け込む二酸化炭素の量は実に大きなもの。
海は地球全体の3分の1の二酸化炭素をを吸収してくれているのです。
二酸化炭素を吸収した海への影響は?
地球温暖化により二酸化炭素の量が増えている。
海への影響には、どのようなことがおきているのでしょうか。
海水中の二酸化炭素の一部は分解され、水と結合し、炭酸になります。
その結果、海水はいくらか酸性度を増します。
現在、海水の酸性度は観測が始まってから、3割ほど高まっています。
これにより、酸性のほうに傾きかけているのです。
二酸化炭素は、酸を含む気体です。
水との結合で炭酸になることで、本来アルカリ性である海水が酸性になりはじめています。
それにより、海の生物にはあまり好ましくない状況が生まれています。
海洋の酸性化が進むとどうなる?
貝の殻やサンゴ礁はほぼ炭酸カルシウムでできています。
人間の歯と同じです。
歯が酸によって溶けることは皆さんも虫歯になることからわかりますよね?
貝の殻やサンゴ礁を見てみましょう。
海水の酸性度が高まると、殻は作りにくくなりますし、出来上がった殻も溶けやすくなります。
小さな貝は食物連鎖の底辺に位置します。
地球温暖化の影響により、二酸化炭素が増している今。
海の二酸化炭素の吸収が多くなることにより、酸性化が進む。
すると貝にとっては生きづらくなっています。
当然、貝を食べる海の生物にも影響が出てきます。
サンゴは酸性には適しません。
白化し、死んでしまいます。
サンゴ礁にはたくさんの海の生き物を育む役割があります。
そのサンゴ礁の大規模な白化は1998年インド洋。
2005年と2010年カリブ海でおきています。
地球温暖化が海へ影響を及ぼした結果です。
1998年のインド洋でのサンゴ礁の白化。
8年後の調査では、そこに棲む生物の半分がいなくなったことがわかっています。
地球温暖化が海への影響をもたらすことはかなり明白です。
なぜなら地質学調査で海底を調べたからです。
過去にも地球には温暖期があったことがわかっています。
地質学者はどんどん海底を掘り下げていきました。
そこで地球が5500年ほど前、地球は温暖期にあったことがわかりました。
その地層は黒っぽくなっており、これは、炭酸カルシウムでできた貝類が少なかったことを示しています。
二酸化炭素には熱を吸収する特質があること。
その二酸化炭素が海に吸収され、海水温が上昇すること。
二酸化炭素は炭酸になり、酸性度が増すこと。
これらをまとめてみます。
つまり、海が酸性化したときには、サンゴや軟体動物を含む大量の貝類が死滅すると推論できるのです。
まとめ
地球の歴史からみても、現在の酸性化傾向は過去のスピードに比べて速いものとなっています。
地球温暖化が海へ与えた影響です。
地球は太陽系の星の中で表面に「水」、そう、海をたたえた、唯一の惑星です。
これがプレートテクトニクスや、地球温暖化と深く関わる二酸化炭素の濃度調整をおこない、生命を作り出してきました。
「海は生命の母」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
その「生命の母」である海へ。
地球温暖化の影響は、今までにないスピードですすんでいるのです。